gomess(ゴメス)【ラッパー解説】自閉症と闘う彼の言葉は多くの人に力を与える
今回は自閉症というハンデと背負いながらも熾烈なディス合戦であるフリースタイルラップバトルの世界に足を踏み入れ『高校生ラップ選手権』の第2回大会の準優勝者になったのを皮切りに、一気にその名を世に轟かせたGOMESS(ゴメス)さん(以下敬称略)の紹介です。
高校生ラップ選手権から大人のMCバトルに戦場を移しその後、現在は音源の制作に集中。彼にしか吐き出せない歌詞に多くの人が心を打たれ、現在も注目のラッパーであるこの男の紹介です。
自閉症と闘うラッパー
GOMESSを最初に知ったのは前述にもある通り『高校生ラップ選手権』というイベントの第2回大会ですね。
この大会は今でこそビッグイベントですがこの頃はまだ『番組のスタジオでやる企画』くらいの規模でしたが出場者のキャラはこの頃からけっこう濃くて色々なバックボーンの少年たちがいてけっこう面白かったです。
その中の1人が『10才の時に医者から自閉症を宣告され数年間家に引きこもっていた』という17才の少年が彼GOMESSでした。
Rhymester(ライムスター)に憧れてラップを始めた事で再び外の世界と関りを持つきっかけが出来たといいます。
GOMESSのバトルスタイル
実際のバトルでのGOMESSのスタイルは韻を上手に踏んでテクニックで魅せるタイプではなく、魂を込めて腹から思いを叫ぶ、というような闘い方ですね。
バトルですが相手を一方的にけなしてディスって闘うというよりは、「俺はこうだ!お前の考えを聞かせてくれ!」みたいな対話型のバトルになる事が多いです。
2017年現在はMCバトルに出場することはほとんどなくなり音源制作中心の活動をしています。
まあしかし人の顔を真っ直ぐ見るのが苦手な彼が、あの猛者が集うMCバトルに自ら足を踏み入れていくのは普通にスゴイと思います。
『劣等感を武器に』をそのまま体現
以前の記事で『HIPHOPは劣等感を武器にできる』という事を書いた記事があるのですが、GOMESSはまさにそれを体現したような表現方法です。
周りから「アイツは障害者」とバカにされ心に傷を負った経験から自尊心を失った事のあるGOMESS。
そんなネガティブな気持ちを逆にさらけ出し武器にした彼の心からのメッセージは多くの人に勇気を与えていると思います。
「自閉症の俺なんて」ではなく「自閉症と闘っている俺だから書けることがある」という彼のスタイルはまさにHIPHOPです。
彼の曲を聞いていると自分も「生きていれば逆風もあるけど負けずに闘っていくぞ」という気にさせてくれます。
最近は詩人のようなスタイルへ
「ラッパーってなんかオラついてて苦手」って人や、「YO!YO!チェケラ!とか日本人がやらないでほしい」みたいな先入観がある方も聞いてみて下さい。
最近はリズムをとって韻を踏むという『ラップ』というよりはほとんど詩人のような表現法にシフトしています。
彼自身はHIPHOPにこだわっているわけではないらしいのでこれからもどんどん新しいスタイルを確立していくのだと思います。個人的にはラップから離れて行ってしまうのは寂しいのですがね・・・
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