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晋平太【ラッパー解説】泥臭くてダサかっこいい!歴代最強バトルMC候補でもあるフリースタイルダンジョン初代制覇者

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今回はMCバトルの実力はR-指定と並んで歴代トップ2と言っても過言ではない程圧倒的な強さを誇るミスターバトルMC晋平太さん(しんぺいた・以下敬称略)の紹介です。

B-BOYパーク優勝・UMB2連覇・戦極MCバトル王者etc、数々の金字塔を打ち立てた全国屈指のトップフリースタイラ―であり、現時点(2017年11月)ではフリースタイルダンジョン唯一の制覇者でもあります。

そのフリースタイルダンジョンファーストシーズンの最終回チャレンジャーで登場した放送は本当に色々なドラマがあり、半分放送事故に近いと思えるくらいの、あんな事は2度とないんじゃないかと思える程凄い回になりました。

今回はそんなミスターバトルMCと言われる彼、晋平太について解説させていただこうと思います。

 

現在の競技性バトルMCの先駆け

彼が最初に公の場にフックアップされたのは『B-BOY PARK 2005』のMCバトル優勝で、そこから一旦バトルは引退し2010年あたりに再びバトルシーンにカムバックします。

以前アップした記事【これ読んで知ったふりしろ!MCバトルの歴史に大きく変化をもたらした革命期2010年前後の話をする】で言及しましたが、彼のカムバックからバトルに勝つ事をメインとする''バトルMC''と言われる活動スタイルのラッパーが次々と現れます。

 

このバトル特化型ラッパーが次々に現れた事で日本のMCバトルのスキル平均値が大きく引き上げられる事になり、ファンも今までよりもより競技性に富んだスキルフルな戦いが見られるようになります。

この2010年辺りからブームに火が付き始め、『UMB』以外にも『戦極MCバトル(旧戦慄)』『罵倒』というビッグイベントが開催されると共に、高校生RAP選手権フリースタイルダンジョンも始まるなどして時代は本格的にMCバトルブームに突入し今に至るという感じです。

晋平太はその現在のバトルブームの導火線に火を付けた1人でもあります。当時の彼の強さは誰も手が付けられないくらい上手く、2010年代前半のバトルは晋平太・そして王者のバトンを晋平太から受け取ったR-指定の2トップ時代と言えるでしょう。

 

漢a.k.a.GAMIとの色々

フリースタイルダンジョン第一シーズン最終回で晋平太は初のダンジョン制覇を成し遂げた訳ですが、中でも記憶に残る一戦は当時モンスターだった漢 a.k.a. GAMIとの一戦です。

あのバトルはダンジョンだけしか知らない視聴者は何の話をしているのかよく分からい状態だったと思いますが、この辺の経緯を軽く解説すると

 

漢が当時所属していたLibra Record(ライブラレコード)と色々あって決別し、同レーベル社長からの社員に対する暴力、給料未払い、及び漢が作ったバトルイベント『UMB』の商標権をライブラから奪還するため、正式に裁判を起こし、漢(9sariグループ)とライブラは完全な敵対関係になります。

『UMB』の2連覇王者であり大会の司会も務めていた晋平太に対し、漢が司会を降りるよう勧め共に仲間として活動していく事を相談しこれを晋平太が了承しますが、晋平太は司会を降りることなくそのままライブラでの活動を続投します。

晋平太はライブラレコード所属だったのですが、漢には「自分はライブラの社員ではない」と嘘をついており、さらにその状況でUMB Record(名前が変わっただけで事実上のライブラ)からアルバムをリリースします。

晋平太はUMBの司会の際、会場で「俺達のバトルを壊そうとする奴らがいる(漢達の事)」と観客に投げかけたりしたかと思えば、漢達の前では笑顔で話しかけてくるなど、その八方美人的な態度に周りのラッパーからの信頼を失っていきます。

当時フリースタイルダンジョンの審査員を務めていた晋平太と初代モンスターだった漢は番組で共演していましたが、こんな状況では共演は難しく晋平太は番組を降板します。

ラスボス般若との音源の件で約束を破ってしまった事もこれを後押し。テレビでは建前上「審査員ではなくチャレンジャーとしてこの場に立ちたいという晋平太の意向」という説明がされています。

こういった経緯で2人の距離が離れていってしまい、長い時間を経て初めて2人が本気で向かい合って対話する事になったのがあのダンジョンでのバトルでした(実際はこの前に一回バトルで対面していますがその時は腹を割っての会話という感じではなかった)。

このバトルの後2人はネット配信番組『FRISH!』での漢の番組『漢さんぽ』で共演し和解したように見えますが、いまのところ2人の活動に接点はありません。

 

さらなる詳細を知りたい方は9sariグループのyoutubeチャンネル『Shinjuku Tokyo』の9SARI HEAD LINE #50』あたりから追ってもらえば分かると思います。

 

決してクールではない泥臭さが彼の良さ

晋平太はラップも上手いですしバトルもめちゃくちゃ強いのですが、ヘッズの多くが持っている印象としてクールかといえばそうではない・・・。ぶっちゃけファッションもあんまし冴えないですし、音源も非常に泥臭くモサっとしています。

しかし、それがいい!

 

先の色々なイザコザなども、彼なりの最善の行動がどんどん裏目に出て人間関係が上手くいかない不器用な感じ、でもラップが好きで堪らないのは変わらずなんとか踏ん張っている姿は決してクールではないかもしれませんが応援したくなります。

彼は同世代の他のラッパーに比べて非常に親しみやすい印象を多くの人が持っています。それは普段の優しい語り口だけでなく、こういった人間の弱い部分というか、スキのようなものがあるからだと自分は思いますね。

 

漢 a.k.a. GAMIはHIPHOPのルールに絶対的に従い、男らしく、人を裏切らず、嘘はつかずというラッパーとしてはもちろんヒップホッパーとしての鏡の様な存在なので、だからこそ彼はヘッズにとってスターであるのです。

人間誰しも弱い部分があったり下手なところがあると思うのですが、逆に晋平太はそういった不完全な部分、『HIPHOPという村の中ではうまくやっていく事はできていないかもしれないけど、ラップに対する愛がとんでもない事だけは分かる』というところが、なんとも憎めない部分ではあると思います。

先の一件で彼は大きくプロップスを落としていますが、個人的にはこれからも応援したいラッパーの1人です。

 

晋平太に「ダサい」は悪口じゃない

曲紹介は彼の代表曲『CHECK YOUR MIC』にします。見てもらえば分かりますが、ラップは超上手いんですがなんかモサっとしててクールじゃないの分かります?PVもぶっちゃけちょっとダサいのが多いんですよ。でもそれが逆に良い。

ラップ愛がハンパない事はビンビン伝わりますよね?熱い!晋平太はこの不器用な感じがなんとも堪らないんですよ~。

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