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スチャダラパー【ラッパー解説】日本で『ラップ』をお茶の間に初めて浸透させたJ-RAPの先駆者

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今回は日本のヒップホップアーティストの兄貴的存在であるグループ、BOSEさん(ボーズ)、ANIさん(アニ)、SHINCOさん(シンコ・以下敬称略)の3人からなるスチャダラパーの紹介です。

HIPHOPにまったく興味のない人でも名前くらいは聞いた事がある人も多いかと思います。タイトルにもある通りまさしく日本で一番最初に売れたラッパーと言っていいでしょう。

いとうせいこうがアメリカから日本に持ってきた『ラップ』というものを日本人仕様に再構築し、ラップに慣れ親しんでいない当時の日本人の耳に「ラップっていう音楽があるらしい」と認知させた第一人者です。

今回はそんなジャパニーズヒップホップ界のアニキである彼らの魅力を解説させていただきます。

 

喋ってるみたいな音楽、ラップ

おそらく自分が人生で初めて耳にしたラップはEAST END×YURI『DA.YO.NE』(1994年)だったと思います。当時小学校低学年だった自分はこれを聞いて「何コレ~、喋ってるだけじゃん歌なのコレ?」って笑っていました。

自分の親も「何だこれ?」みたいな反応だった気がします。スチャダラパーが活躍し始めたのも93年とか94年とかだったと思いますが、当時の日本はそもそも『ラップ』自体が異物の時代でした。

現在では好き嫌いはあれど、ラップを聞いたら「これはラップってのをしている」という事くらいはほとんどの人が分かりますが、当時はそのものの存在自体をまったく知らない人が多かったはずです。

そんな時代の中、高木完のバックアップで90年にデビューしたスチャダラパーは94年、オザケンと共にあの曲を世に誕生させます。

小沢健二と組んだこの『今夜はブギー・バッグ』は今でも数多くのアーティストがカバーしている名曲で、この曲は50万枚を超える大ヒットとなります。

この辺からスチャダラパーのキャリアは加速度的に勢いがつき、数々のCMやナレーター、TVなどに出演しさまざまな媒体で彼らを目にするようになり、『ラッパー』という肩書を持つ日本で最初のスターが誕生しました。

 

J-RAP vs J-HIPHOP

スチャダラパーEast Endがお茶の間で活躍する中、アンダーグランドではハードコア勢力が次々と頭角を現します。雷家族Microphone PajerキングギドラBuddha Brandといったストリートからの刺客達です。

彼らは国内での真の『HIPHOP』は自分達にあるとし、メジャーシーンで活躍する彼らをHIPHOPではないがラップをしている『J-RAP』と定義。ここに『J-RAPとJ-HIPHOP』の対立構造が生まれます。

ホントHIPHOPってすぐケンカすんのよ・・・

この数年後の2000年代初期に起こる『ポップvsアンダーグラウンド』抗争と非常に似ている構造です。

 

ただ、これは後に本人たちが話していますが、この90年代抗争は対立するアーティスト同士が本当に仲が悪かったわけではないようで水面下では仲が良く繋がっていたと話しています。

ファンが勝手に熱くなり対立構造を激化させていった側面があり、当人であるアーティスト達とは温度差があったようです。

当時からHIPHOPの大ファンだったオードリー若林は番組内でこの話をスチャダラパーのANI本人から聞き「え~、そうなの!?俺達ファンはめっちゃピリついてたのに!!なんだぁ~」みたいなやりとりが印象的でした。

 

生理的嫌悪する人はほぼいない

HIPHOPはある意味尖ったジャンルであるが故、好き嫌いが分かれやすく、嫌いな人は記号的イメージだけで嫌悪感を抱いてしまいがちです。しかしそんな人にこそこのスチャダラパーをお勧めしたい!

スチャダラパーのスタイルは何かを訴えかけたり、日常や現実のリアルをシリアスに伝えたりといったような、それまでのアメリカの正統派HIPHOPのスタイルとは一線を画します。(逆に前述の日本のアングラ勢は正統派スタイルをそのまま日本語で表現している)

ゲームの話題やアニメなどのサブカルチャーを曲にしたり、日常の話題にしてもシリアスな雰囲気にならないようなコミカルな仕上がりとなっていて、それでいてトラックは非常に洗礼されたものでそのギャップが物凄くカッコイイところも魅力です。

今以上にラップが受け入れられていなかった当時の日本で、多くの人をラップリスナーに引き込んだ彼らの魅力を是非感じてみて下さい!

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