MICROPHONE PAGER【ラッパー解説】90年代の第一次日本語ラップブームの立役者!シーンに名を刻んだレジェンド
今回は90年代の日本のHIPHOPシーンに大旋風を巻き起こした伝説のグループMICROPHONE PAGER(マイクロフォンペイジャー)の紹介です。
初期メンバーはMURO(ムロ)さん・TWIGY(ツイギー)さん・P.H.FRON(ピーエイチフロン)さん・MASAO(マサオ)さん・DJ GOさん(ゴー・以下敬称略)の5人、途中からメンバーはMURO・TWIGYの2人となっています。
日本のラップに興味を持ったならばどこからハマったにせよ必ずいつかは『ペイジャー』の名前に当たる事になるでしょう。それほど彼らは日本のHIPHOPを語る上で避けては通れないグループです。
今回はそんなレジェンド、マイクロフォンペイジャーについて解説させていただきます。
90年代、日本初のラップブーム
この辺りの世代のラッパー解説の記事で毎回この説明してる気がしますが、とりあえず初見の読者に向けてもう一度説明させていただきます。
とりあえず彼ら90年代初期~半ばに活躍していたグループは、今は当たり前にある『日本語ラップ』というジャンルをこの国に完全に定着させた世代でもあり、今活躍しているラッパーのほとんどは彼らが1つの教科書となっています。
スチャダラパーやEAST END(DA.YO.NEの人)が『ラップ』という歌唱法をお茶の間に広め、Buddha Brandという黒船が来航し、RHYMESTERは健康的でスポーティーなHIPHOPを、Soul Screamは文系ラップと言われたリリシズムを、キングギドラは社会へのカウンターを、雷家族は破壊的なハードコアを歌っていました。
そこにダークなハードコアスタイルの代表として注目されていたのが彼らMICROPHONE PAGERです。メンバーのTWIGYは雷家族のメンバーでもありますが雷はハードコア直球という感じなのに対し、ペイジャーはガナりたてる様なそれとはまた違ったアングラ感を醸し出していました。
今聞いても最先端に聞こえる
やはりHIPHOPにはどの時代にもその世代っぽさってのがあって、この90年代のラップの良さは現在とは違ったクラシック感や、あえて日本語にこだわった事から来る''日本語感''がとても心地よいのが特徴です。
なので最近の日本語ラップの方が好みな若い人達から言われる事として「この時代のラップはちょっと古臭い」ってのがあるんですが、そんなイメージからこの時代のHIPHOPを食わず嫌いな層にこそMICROPHONE PAGERはおススメです。
過激な歌詞でアンダーグラウンドを匂わせつつも鼻につかない語り口、トリップさせるようなダークなトラック、昔のクラシック感を残しつつも古臭さを感じさせないフロウは、どの世代の日本語ラップファンもツボを突かれると思います。
95年に発売された1stは今でも余裕で聞ける音源で、どの時代にもマッチしている事を考えると当時からかなり最先端を走っていた事が分かります。こんな音楽をこの時代から作っていたんだからそりゃ凄えってワケですね。
ネームバリューに見合わない活動
マイクロフォンペイジャーのレジェンド感をより匂わしている部分として、これだけ有名なヒップホップグループにもかかわらず実はオリジナルアルバムは95年に出た1st『DON'T TURN OFF YOUR LIGHT』だけです。
他には他名義のコンピレーションなどに曲が入っていたり、あとは97年にベストが出ていますが、マイクロフォンペイジャー名義としての活動はそこまで精力的に行なわれていた訳ではないのが面白いところです。
マイクロフォンペイジャーの中心であるMURO・TWIGYはソロ名義での活動がメインとなっていますし、他の3人は脱退しています。
2008年に''改正開始''として復活しアルバム『王道楽土』をリリースしますが、このアルバムは次世代のラッパー達とのフィーチャリング曲中心の作りで、オリジナルアルバムというよりはコンピレーションアルバムのような作りになっています。
結局その後も再び地下に潜ってしまうのですが、この『ネームバリューのわりに実体があまりない感じ』っていうベールに包まれた感が伝説臭をより引き立てます。
ヘッズならペイジャーは必聴
曲紹介は1stアルバム『DON'T TURN OFF YOUR LIGHT』の一曲目『病む街』です。デビューアルバム1発目でいきなりコレが始まり多くのリスナーをロックしました。この始まりのベースラインを聴くと多くのヘッズが「おっ」ってなりますw。
とりあえずラップファンでまだMICROPHONE PAGERを聴いていない方はチェックしておいて損はありませんよっ!
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