COPPU(コップ)【ラッパー解説】繊細な女性の感性が光る優しいラップ。日本に生きる女性の代弁者ともいえる調和的なスタイル
今回は女性の女性による女性のためのラップ、普通に生きる女性の代弁者ともいえるフィメールラッパーCOPPUさん(コップ・以下敬称略)の紹介です。id:kikinightさんからのリクエストです。
それまでの『B-GIRL』というイメージを打ち破り、尖った自己主張とは対極の表現で織りなす彼女の世界はとても調和的で優しく、これまでのHIPHOPにはない居心地の良さを感じさせてくれます。
旦那さんはKEN THE 390とはなびと共に『りんご』というユニットで活動していたラッパー兼トラックメイカーのEI-ONE。彼女の音源も彼のレーベル『IN DITCH』からリリースされています。
2008年のデビュー作からアルバムを辿っていくと、1人の女性のとしての視点や母親としての視点を非常にフラットな立ち位置から語っているので、個人的には各作品がほぼ全ての大人の日本人女性が共感できる作品の仕上がりになっていると思います。
ラッパーっぽくない『普通の女性』感
『普通の』というと少し語弊があるかもしれませんが、COPPUの魅力はそれまでイケイケな感じ、グラマラスな感じの強いフィメールのスタイルとは対極のルックス、表現が逆に先鋭的であったところです。
やはりHIPHOPはレベルミュージック故に反発や自己主張が前面に押し出されやすい音楽の1つでもあります。それに加えディスという攻撃的側面があったりMCバトルという舞台もあったりと、なんというか非常に『男らしい』ジャンルです。
ですので男性中心の男らしい業界故か台頭してくる従来のフィメールラッパーもB-GIRLっぽさだったり、男勝りな尖った表現で自分を表すリリックを使うラッパーが多いです。
それに対し彼女のラップは声も歌詞も攻撃力を武器としたものではない非常に丸い表現が魅力です。それこそ誰もが持っている日本の女性の内面を代弁していくスタイルといってもいいかもしれません。
こういったアーティストは今までの日本語ラップには意外と少ないんですよね。自分にしかないマイノリティをアピールするそれまでの''HIPHOPらしさ''とは違った中性的、調和的な部分が逆に彼女の個性を際立たせています。
受動的でありつつもHIPHOP
COPPUの音源を聞いていくとリリックからも彼女の人生観を感じる事が出来ます。個人的に感じるのは人生に対し非常に受動的な感性を持った人である事、それがこの優しい世界観を生み出しているのでないかと思います。
HIPHOPは「現状を変えていく」という能動的な成り上がりのスタンス、つまりは自分から何かを起こそうとするパワーが良さでもありますが、彼女は日常に起きた事からフォーカスする行雲流水のような受け身の視点も持ち合わせていて、そこがまた彼女の丸さを引き立てています。
それでいて彼女の表現には芯があり''自分が自分である事を誇る''というHIPHOPスタンスは彼女の楽曲からハッキリと感じる事が出来き、それがまたカッコいいんですよね。
ネット番組『ラップの時間』
ネット配信チャンネルFRESHで毎月第3日曜日に夜10時から放送される番組『ラップの時間』ではラッパー太尊(たいそん)と共にCOPPUが司会を務めています。
この番組は毎回ラッパーをゲストに呼んでトークする番組なのですが、現在旬の若手ラッパーから大御所のベテランまでなかなか豪華なメンツが毎回登場するのでヘッズの方たちは是非チェックしてほしいです。
いや~ここでもCOPPUさんの癒し感は最高です。なんて言うんでしょう、飲み会とかにいて欲しい女性っていう感じ?笑。あの黙って「うん、うん」って話聞いてくれる感じ堪んないっすわ~、いいわ~。
COPPUに癒されとけ
COPPUの曲紹介は『Slumber』にしようかと思います。『枠にはまらない。無理に飾らない。本当の気持ちに逆らわない』OK?
疲れた大人の皆さまには是非、COPPUのCDを聞いて些細な日常に幸せを見出す感覚を取り戻してもらえればと思います。
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