レペゼン社会不適合者

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tha blue harb(ブルーハーブ)【ラッパー解説】『哲学ヒップホップ』とも言えるポエトリーな歌詞・世界感

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今回は北海道札幌市を拠点に活動し、ラップを武器にしたポエトリースタイルのアーティストの先駆者的存在でもあるtha blue harb(ザ・ブルーハーブ、ちなみにtheではなくthaです)の紹介です。

ILL BOSSTINOさん(イルボスティーノ・旧BOSS THE MC)・O.N.Oさん(オーエヌオー)・DJ DYEさん(ダイ・以下敬称略)の3人組のヒップホップグループです。

1回彼らの音楽を聞いてしまえば「ブルーハーツの偽物みたいな名前しやがって」のようなナンセンスなディスは言えなくなりますよ。今日はそんな彼らの魅力を解説させて頂きます。

 

ポエトリーとHIPHOPの融合

彼らが世に知られたのはHIPHOP界のビッグダディDJ Krushが『知恵の輪』という曲をフックアップし、そこから一気にtha blue harbという存在が全国的に認知されたのが始まりでしょう。

北海道で活動していた彼らの名が本州にまで徐々に浸食しはじめた2000年代前半、シーンは空前のストリートラップブームが巻き起こっています。

そんな渦中に記号的なイメージのHIPHOPとは一線を画すスタイルを引っさげて現れたブルーハーブはあまりにも今までの既存のラップとかけ離れていた為、台頭当時もかなりの話題になっていました。

なので当時のアングラリスナーの一部からは、ブルーハーブを『宗教クサい』と、ブルーハーブファンを『信者』と揶揄する人がいる程でした。

 

同業からの反発

当時の彼らに対する批判はファンだけでなく同業のラッパーの楽曲内でもちょいちょい聞くようになります。なんせ好戦的なライムは滅多に書かないあのRHYMESTER(ライムスター)でさえ彼らをディスった程ですから、それだけ大きな影響力を持つグループだったと言えます。

中でも大きな話題となったのは今は亡き名古屋のノートリアス、TOKONA-Xとのビーフでしょう。日本屈指のアウトローラッパーTOKONA-Xの彼に対するディス曲の不穏な空気は緊張感を漂わせました。

「こちとらポエムかいてるわけじゃねえ、目指せ直木賞だなまるで」

「ラップで勝負?眠てえこと言ってんな、お付き合いどつき合いで始めるか?」

「(薬が)切れめのときは俺を避けろよお前コラ、何するか分からんぞ」

 

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・・・・

 

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これはシャレにならん・・・

このビーフはTOKONA-X側の誤解から始まった揉め事で後に2人は和解していますが、当時はこの曲の内容があまりに過激なのでファン達も大騒ぎになりデマ情報などが色々なところで飛び交い、BOSS THE MCもかなり精神を疲弊したと話しています。

「歌詞がいい、世界感がいい」という音楽性だけでなくブルーハーブは色々なところで発生した向かい風に負ける事なく、「自分たちのスタイルは曲げない」という信念を貫き通した凄いアーティストでもあるのです。

 

FUJI ROCK伝説のライブ

 

このライブは「Fuji Rock 2000」で行われたブルーハーブのライブですが、これは何というか・・・とにかくもう言葉では説明できないですとりあえず聞いてください。YOUTUBE動画張ってたんですが削除されてしまいました(´;ω;`)

このライブもそうですがブルーハーブのライブは手を挙げて首を振りながら聞くという雰囲気よりも、こんな感じで『聞き入ってしまう』ような空気を創り上げるところなども彼らならではと言えます。

 

地方を背負ったスタイルの先駆けの1人

今でこそ『レペゼン〇〇』と首都圏以外の出身のラッパーが口にしますが、当時のHIPHOPはどうしても東京が中心である風潮があり、さらにネットも普及していなかった事から地方出身のアーティストにとって今よりもシーンの中心から距離が遠い時代です。

 そんな中「HIPHOPは東京だけじゃねえ!」と東京への反逆的精神を持ったラッパーが各地で現れ始めたのもこの時代です。北海道からはtha blue harbが、名古屋からはTOKONA-Xが、関西からは韻踏合組合が・・・

他にもたくさんの地方出身のラッパー達が地元をレペゼン(背負って)して台頭するという時代に突入したのもこの頃でした。

「北海道にはブルーハーブがいるぞ」と東京のヘッズ達の頭に叩き込んで認知させたtha blue harb。つまりは大泉洋的な存在という事だ!

 

まとめ

以前紹介した降神(志人・なのるなもない)とはまた違った経路の語りをみせるブルーハーブ。気になった方は是非チェックしてみて下さい。そして北海道出身の方で彼らを知らなかった方は応援してあげて下さい!

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