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Kダブシャイン【ラッパー解説】最近だいぶ丸くなった元祖社会派ラッパー。現在は芸能事務所に入り活動する文化人

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に今回は90年代からZEEBRA、DJ OASISと共に日本のヒップホップブームを作り出したグループの1つキングギドラのメンバーKダブシャインさん(旧K DUB SHINE・以下敬称略)の紹介です。

世の中で起きている社会問題などのメッセージを投げかけるカウンターカルチャーとしてのHIPHOP文化を日本語で表現する元祖『社会派ラッパー』です。

現在は名前を英語表記からカタカナ表記に変え、タレント活動としてテレビなどでも活躍している彼の魅力を解説させていただきます。

 

社会問題や政治に精通する社会派ラッパー

Kダブシャインは90年代にMicrophone Pager・RHYMESTER・雷家族・Buddha Brand・スチャダラパーらと共にラップブームに火を付けたヒップホップクルー『キングギドラ』の一員として頭角を現した男です。

【キングギドラの解説はコチラ】

ファッショナブルでキャッチーなだけのラップに異を唱え、世の中の矛盾を訴えていく『文化としてのヒップホップ』を表現することにこだわりを持って活動し続けた社会派ラップの日本でのパイオニア的存在です。

高校時代からアメリカへ留学し、その後もテンプル大学出身という学歴を持っている事で英語の語学力は当時のラッパーの中でも随一(ライムスター宇多丸談)なのですが、日本語でHIPHOPを表現、という事を徹底するため彼のラップは英語をほとんど使わない純和製で表現されています。

  

セルアウト(売れ専)・拝金主義批判

上で紹介した楽曲『ザ・ジャッジメントデイ』や『自主規制』などでもそうですが''お金持ちが権力を持ち続け弱者から搾取する資本主義社会の負の構造''なるものに対し彼は頻繁に批判的な意見を飛ばしています。

プロパガンダによる洗脳やメディアでの情報操作などについて『何が真実かちゃんと見極めろ』という事を訴え続けていて、まさにPublic Enemy「Don’t Believe The Hype」(まやかしに騙されるな!)のメッセージを日本で体現しようとしています。

なので彼は信念のない売れ専ラッパーを批判することが特に若い頃は非常に多く、有名なところで言えば【ZEEBRAに公開処刑された男を再評価】の記事でも触れたキングギドラの『公開処刑』で当時メジャー路線で売れていたKICK THE CAN CREWやRIP SLYMEをディスで攻撃しています。

 

過去の記事で何度も触れている様に当時は『アンダーグラウンドとメジャー』の間にかなり色濃い溝がありこの頃のHIPHOPは「売れている=ダサい」という考えが過激なまでに強調されていました。

彼はその売れ専(セルアウト)批判のアングラ側の最前線にいた1人でもあります。あれから時が経ち冷静になって考えると当時のこの二極化はかなり極端でファンもかなり偏った考えでHIPHOPを捉えていた人が多かったです(当時の自分も)。

今考えるとそれも日本のラップの歴史として感慨深いところでもあるのですが、まぁーとにかくあの頃は村社会的な風潮は相当色濃い時代でしたね。

 

そんな彼も現在は芸能事務所所属

『歳を重ねると考えが変わる』ってのは誰しもが経験する事かと思いますが、昔は「好きでもねえ奴に頭下げなきゃいけねえ業界ざけんな」と尖っていたケーダブさんも今は芸能事務所『ワタナベエンターテインメント』に所属しています。

過去のイメージから一番そういうのから遠い、むしろ批判的だった彼が今やテレビのバラエティー番組に出演しています。ホームページを見るとカテゴリーは『ミュージシャン』ではなく江原啓之やDr.コパがいる『文化人』として登録されています。

 

彼にオラついたアンガールズ田中

この事務所での面白エピソードをケーダブが話していました。ワタナベエンターテインメントに入った時に事務所の新人としてケーダブが先輩達にあいさつに行った時のエピソードです。

事務所の先輩といえどケーダブより年下の人も結構いたそうですがそこはやはり常識人、ラッパーとして活躍している事も知ってか事務所新人の彼に対してもみんな常識的に頭を下げてあいさつしてくれたそうです。

そんな中お笑い芸人として事務所先輩の立場になるアンガールズ田中は「ああ、君が新人?まあ頑張りなよ」といった態度でそうとう威張り散らしていたと語っています。

 

この事をバラエティ番組でケーダブが告発し番組MCの東野幸治から

「お前この人メチャメチャ怖い人だぞ?それ分かってんのか?」

と怒られ田中が

「知ってますよ!僕はこういう人たちにずっといじめられてきたんですよ。だけどやっとここまで来たんです!」

スタジオは「え~~」みたいな雰囲気になり

「みんなも田中をやってみれば僕の気持ちが分かりますよ!」

と言っていて非常に面白かったです。

この人もしかして上司とかにいたらすげーダルいタイプじゃね??Kダブシャインは笑って話してましたけどほんと丸くなりましたね。もう50歳になりますもんね。ちなみに結婚はされていない様です。

 

もちろん現在でもラップ活動は継続中

テレビに出てのタレント活動だけでなく現在でもラッパーとして音源のリリースは定期的にされています。2016年末に発売されたアルバム『新日本人』もカッコよかったので是非聞いてみて欲しいです。

気になった方は過去の音源もyoutubeなどでもいいので是非チェックしてみて下さい。

他にもたくさんのラッパーを語らせてもらってます。良かったらこちらから覗いてやって下さい。ラッパー解説 カテゴリーの記事一覧