レペゼン社会不適合者

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先週のLick-Gの余韻で今週はややハードルが上がってしまった。フリースタイルダンジョン解説(放送日2018年5月8日)

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2018年5月8日放送(放送日は5月9日早朝)のフリースタイルダンジョンの感想・考察です。先週Lick-Gが圧倒的な強さでダンジョンを制覇し100万円を獲得したので、まだその余韻が残っている事から視聴者側から見て今週の放送に対してどうしても少しハードルが上がってしまいますね(^-^;。

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選手権常連、ACEの弟

今週の最初のチャレンジャーはACEの弟でもあるLuiz Alvis(ルイスアルヴィス)が登場。超激戦区の高校生ラップ選手権の本戦出場を何度も果たしている若手の注目株の1人です。

バトル中は相手に兄ACEの事を引き合いに出される事が多いので若くして他のラッパーより多くの弱点を背負ってステージに上がっているものの、ラテンの血が織りなす日本人にはない感覚を武器にMCBattleの各大会でも活躍している実力派です。

選手権では毎回注目株として名前は挙がるのですが、くしくも結果は残せていません。しかし毒の強くない(それほど相手を悪く言わない)彼のバトルスタイルはあまり選手権向きではない感じもするので、その辺は大会の色との相性もあるのかなと思います。

バトルももちろん強いのですが個人的にはこれからリリースが予想されるであろう音源の方に注目しています。まだ音源制作にそれほど力を入れていないっぽいので、アーティストとしての彼の魅力はまだまだ未知数と自分は考えています。

 

Luiz Alvis vs 輪入道

さすがにいきなり兄弟対決とはなりませんでしたね。迎え撃つべく現れたのは輪入道です。このバトルはダンジョンでは意外に最近では珍しい正統派(?)なバトルじでした。『綺麗なラップ』という感じですかね。

両者とも変則的な事はせずオーソドックスにビートに乗っかり、かつ韻も固く、アンサーもしっかり返す。人格を否定するようなアクの強いディスなどもなく、フリースタイルの教科書の様なバトルでした。

こういった基本に忠実なラップは変則フロウとかでごまかさない分、フリースタイルスキルがそのまま反映されます。突拍子もないパフォーマンスでイニシアチブを握る事を『逃げ』と捉えるならばこのバトルはとても正々堂々と男らしい戦いでした。

しかしまあルイスは韻が固いですね!仕込み感のない即興性の高いラップをしているところから見ても彼の実力の高さが垣間見えます。ただ輪入道はこういった展開は得意中の得意なタイプだと思うのでここは彼に分がありましたね。

結果は2-1で輪入道の勝利。とくに3ラウンド目の輪入道は「これぞまさに輪入道!」と言える、バイブスとライムが結合した素晴らしいバースを蹴っていましたね。

ルイスは負けてしまいましたが、トリッキーなフロウでごまかさず古風な正統派ラップで真正面から輪入道にぶつかっていった姿はとても男らしくてカッコ良かったです。

 

DOPEなダミ声ラッパー

次に登場したのはUMBの広島代表になりチャンピオンシップにも出場した事のある実力者MULBE(ムルベ)です。最近で印象深いのはKOK2016予選ですかね。あそこでの彼のラップはかなりカッコよかった記憶があります。

アーティストイメージとしてはけっこう黒~い感じのスタイルで、系統としてはバトルラッパーでいえば名古屋のBASEとかに近い感じです。確かBASEとは音源で共演もしていたかと思います。

特徴的なのはやはりあのダミ声ですね。ダミ声といえばやはりZEEBRAが思い浮かびますが、ジブラが一気に有名になったあたりの当時はダミ声ラッパーが量産されてた気がするんですが、考えてみると最近はあまりいませんね。

MULBEみたいなしゃがれ声のラップは聴き心地にクセがある分けっこう好みが分かれます。ハハノシキュウとかもそうですが、もう声が生理的にダメって人は言葉が入ってこない感じになっちゃいますね。

個人的にムルベはあのアンダーグラウンドな感じとダミ声が非常に合っていてとてもっカッコイイと思います。バトルだけじゃなく音源もとてもカッコイイので是非チェックしてみて下さい。

 

MULBE vs ACE

ムルベの相手はACEです。冒頭のブラジルエピソードは凄かったですね。ACEはあんまりああいったデンジャラスな思い出みたいなの話さないイメージがありますね。

ああいう話ヘッズは好きだと思うんですが、「修羅場くぐってきました」みたいな武勇伝語りするのはあんまり好きじゃないんでしょうかね。ACEあんまりマイナスな事や悲壮感出るような事を言わないのでなんか新鮮でした。

さてバトルですが、まず最初に思ったのはMULBEはフリースタイルダンジョンに出るタイプじゃないイメージなので「ダンジョンどうなんだろ?」って感じでしたが、実際のバトルも「んん~(-.-)」って感じでした。

軽くスベッてる感じになってしまいましたし、ムルベ初見のダンジョンリスナーの視聴者は「微妙じゃね?」って思ったと思います。ムルベはドープでカッコイイラッパーなのは間違いないのですが、その魅力はほとんど伝わっていませんでした。

おそらく彼の得意な草ネタは全部コンプラが入ってしまうでしょうし、テレビ番組というポップなフィールドで力をあまり発揮できず、ACEのラップの上手さだけが評価されたバトルでしたね。

結果はACEの一発クリティカルです。テクにこだわらず自分を表現するのがHIPHOPなのは間違いありませんが、今回はMULBEの『自分を出す』という部分が一人よがりの印象を与えていました。

やはりダンジョンでは上手い押韻や独特のフロウ、言い負かし感など何かしら『聞き手に伝わりやすい』パフォーマンスをある程度発揮できないと評価されないとも思います。ただ、それにしてもムルベは調子悪すぎだろと思いましたね。

 

って事で今週のフリースタイルダンジョン解説はここまでです。冒頭でも書きましたが先週のLick-Gの放送がインパクトありすぎて、今週は「うん、まあ、うん」って感じですかね(^-^;。

ラッパー解説記事も最近時間がなくて全然アップできてないんですが、リクエスト下さった方々、必ず書きますのでもう少々お待ちくださいッ!

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